コラム

夫婦関係のご相談もお早めに

2021.02.20

執筆者 弁護士 古家野 彰平

 最近、離婚のご相談やご依頼が増えています。
 昨年「コロナ離婚」という言葉が生まれたように、コロナ禍が夫婦関係の軋礫を顕在化させているのかもしれません。
 はたまた「弁護士は40代になると、同世代の友人・知人からの離婚の相談が増える。」とも言われており、私がその年代にさしかかったためかもしれません。

 事実、40代は、離婚が多い年代のように感じます。もちろん、婚姻関係を開始して夫婦の性格不一致が明らかになったり、出産~育児をきっかけに夫婦関係に不和が生じたりして、結婚後すぐに離婚にいたるケースも多いです。
 その一方で、夫婦関係に亀裂が入っても「子どもが小さいから」等という理由で婚姻が継続され、子どもがある程度成長し手がかからなくなってから離婚に至るケースもまた多いです。その時期が40代に重なりがちです。丁度、年齢的に自分の人生を見つめ直し「今がやり直す最後の機会!」と思い立ちがちな時期でもあるため、私は「不惑タイプ」の離婚と呼んでいます。

 ところで、性格の不一致を理由としてする離婚の事案では、夫婦のどちらかが「家族は~」「夫は妻は~」「男は女は~」「こうでないといけない」という無意識のステレオタイプに支配されており、それが夫婦間の軋礫の原因になっていることが多いです。例えば、本来、育った家庭毎に家族のあり様は異なるのですが、自分の生まれ育った家庭でのやり方が「普通」「当たり前」と思いこんでしまっている、といった形です。
 「夫婦はこうでないといけない。」という思いが夫婦を幸せにしてくれているのならよいのですが、そうでないなら考え物です。極端な例としては「夫婦間であれば多少の暴力(DV)やハラスメントは許される」「夫婦喧嘩で人格否定的な発言をするのはよくあるもの」といったものですが、そこまででなくても家事・育児の分担や仕事に向かう姿勢などについての固定観念が夫婦間の軋礫を生じさせ、袋小路に陥らせることがあります。

 改善のためには、まずは、家族の形に関する無意識の価値観や固定観念を夫婦それぞれで見える化・言語化することです。それができれば、持続困難となっている夫婦の関係性を見つめ直し、再構築を図るか、あるいは婚姻そのものを解消してしまった方がよいのかを考える糸ロになります。
 とはいえ、自分で自分の無意識の考えを自覚することは難しいので、夫婦関係でお悩みがある方は、第三者に相談されてみてはいかがでしょう。
 相談先は、カウンセラーもよいでしょうし、私たち弁護士にご相談いただいても結構です。

 ちなみに、私の場合、こ相談の際には、無意識のステレオタイプに気付くきっかけとするため、夫婦それぞれのご実家の家族の構成やご様子までお聞きしたり、また、「逃げ恥」ではありませんが、「家庭を職場と捉え、出産や育児等を「プロジェクト』と考えた場合、どのようにアクションすればよいと思いますか。」とお聞きすることがあります。そういったことを人にお話いただくだけでも、自然と「気づき」を得られることは多いようにも思います。
 紛争は、起こってから解決するよりも予防する方がはるかに大事なのは夫婦関係でも同様です。ご相談はぜひともお早めに。