コラム
寄付でつながる、企業と社会 ~法人寄付のいろは~
法人が社会に貢献する方法は、本業を通じたものだけではありません。地域や社会を支える活動に寄付をすることも、社会貢献の一つです。
弊所でも2025年、法人として寄付を行い、その中で初めて「企業版ふるさと納税」も利用しました。その経験をもとに、意外と知られていない法人寄付の税制をご紹介します。
1.寄付金は、どこまで損金になるの?
損金とは、法人税を計算するときに、所得から差し引くことのできる金額です。
一般に、事業のために必要な支出は損金に算入されます。
寄付は、事業に直接必要な支出というより、法人が得た利益をどのように使うかという性質を持っています。そのため、すべての寄付を自由に損金にできるわけではありません。
税法上の特別な取扱いの対象とならないものを「一般の寄付金」といい、損金にできる金額には上限があります。
例えば、普通法人で、資本金等1000万円、税務上の所得金額1000万円、1年決算の場合、その限度額は約7万円で、かなり制限されていることがわかります。
もっとも、社会福祉法人、公益法人、一定の学校法人などの特定公益増進法人や、認定NPO法人等への寄付には、一般の寄付金とは別枠の損金算入限度額があります。上記と同じ条件では約33万円となり、枠が広がります。
一方で、国や地方公共団体への寄付、財務大臣が指定した寄付金は、公益性や使途が制度上強く担保されているため、全額損金算入となります。
損金に算入された金額は、法人税等の計算の基礎となる所得から差し引かれるため、課税所得がある法人では、その分、税負担を軽減する効果があります。
2. 企業版ふるさと納税なら、さらに税額控除も!
税額控除とは、所得を減らす損金算入とは異なり、計算された税額そのものから一定額を差し引く仕組みです。
「企業版ふるさと納税」では、寄付額の全額を損金に算入できるうえ、税額控除も受けられます。
これらを組み合わせることで、寄付額の最大約9割に相当する税負担の軽減効果があります。地域の課題解決に取り組む自治体と、それを応援したい法人を結び付けるため、通常の寄付よりも手厚い税制上の後押しが設けられているのです。
もっとも、「最大約9割」は、課税所得があり、各税目の控除を上限まで受けられるだけの法人関係税額がある場合の数字です。すべての法人に当てはまるものではなく、弊所が実際に利用した際にも、この水準には至りませんでした。
また、対象となるのは、国の認定を受けた地方創生事業に対する1回10万円以上の寄付です。ただし、本社(地方税法上の主たる事務所または事業所)が所在する地方公共団体への寄付は対象となりませんのでご注意ください。
3. 制度を知り、寄付で社会とつながる
一般の寄付金や社会福祉法人等への寄付には損金算入限度額があるため、全額を損金に算入できる寄付額は限られます。
一方、企業版ふるさと納税では、全額を損金に算入でき、一定の税額控除も受けられますが、本社が所在する自治体には利用できません。
共感できる地域や活動を見つけるには、日頃から視野を広く持ち、人や地域とのつながりを育てておくことも大切です。また、税務上の取扱いは、寄付先や法人の状況により異なりますので、顧問税理士等にご確認ください。
今回、弊所が応援した4つの取組はいずれも、子どもの学びや育ちを起点に、家族や地域とのつながりを支えるものです。寄付をきっかけに、人や活動との新たなつながりが生まれ、子どもたちが安心して自分らしく成長できる社会づくりに、私たちも少し参加できたように感じています。
2025年に弊所が応援した4つの取組
和歌山県田辺市【企業版ふるさと納税】
中山間地域で、閉校した旧二川小学校の校舎を活用して開校した「うつほの杜学園小学校」を核に、子どもの学び、教育移住、地域の振興につなげる取組です。学校づくりを地域再生の力にする挑戦を応援しました。
奈良県天理市【企業版ふるさと納税】
生きづらさを抱える子どもたちに、アートやデザインを通じて、自分らしさや社会とのつながりを育むクリエイティブスクールをつくる取組です。教育、福祉、地域づくりを一体で進める挑戦を応援しました。
京都こども宅食プロジェクト(社会福祉法人あだち福祉会)
~食品とともに、つながりを届ける~
京都こども宅食プロジェクトでは、支援を必要とする子育て家庭に食品などを届け、困りごとに気づき、必要に応じて行政や地域の支援につないでいます。家庭とのつながりを育む活動に共感し、寄付を行いました。
社会福祉法人京都ライトハウス(あいあい教室)
~視覚に障害のある子どもと家族を支える~
視覚の発達に不安のある子どもや、視覚に障害のある子どもへの療育と家族支援を行い、通園が難しい子どもには訪問療育も実施しています。 子どもと家族の暮らしに寄り添う活動に共感し、寄付を行いました。