お知らせ

AI利用に関する基本方針を策定しました

2025.12.01

生成AIを含むAI技術は、すでに私たちの仕事や生活のごく当たり前の道具になりつつあります。法律事務所の業務においても、適切に使えば、仕事の迅速化や見落としの防止、文書の品質向上など、多くのメリットがあります。
他方で、依頼者の秘密や個人情報を扱う立場としては、十分な配慮が欠かせません。
そこで、このたび当事務所では、以下の「AI利用に関する基本方針」を定めましたので、お知らせいたします。

AI利用に関する基本方針

当事務所は、AI利用について説明責任・透明性を重視する観点から、以下のとおりAI利用に関する基本方針を定め、これを依頼者の皆様に提示します。

1.目的

当事務所は、依頼者の皆さまにより良い法的サービス(迅速化、品質向上、見落とし防止等)を提供するため、弁護士の専門的判断を前提として、業務の一部にAI(生成AIを含む)を活用することがあります。ただし、AIはあくまで補助であり、当事務所は秘密保持・個人情報保護・著作権遵守・成果物の正確性確保を最優先します。

2.適用範囲

本方針は、当事務所の弁護士および職員が、業務上AIを利用する場合に適用します。

3.AIを利用する主な場面

当事務所は、必要性とリスクを評価したうえで、例えば次の場面でAIを利用することがあります。

・文章の要約、論点整理、チェックリスト作成
・文書ドラフト作成・校正の補助
・事務所内の検討用メモ、タスク整理
・事件記録の整理・検索・要約等
・法令・裁判例・文献等の調査(リサーチ)の補助

4.使用するAIサービスの選定及び設定

当事務所は、AIサービスの規約・仕様を確認し、データの取り扱い(学習・保存・再利用等)を含めて総合的に評価し、使用するAIサービスを選定し、必要な設定を施します。

特に、以下の基準を重視します。

1. 業務で用いるAIは、当事務所が承認した有料のビジネス用途サービスに限定します。また、有料サービスの試用版(トライアル)については、正式導入の検討の目的のため、当事務所が承認したものに限り利用します。個人向け・無料のサービスは利用しません。

2. 機微情報(依頼者秘密・個人情報等)を扱う場面では、次の要件を満たすサービス・設定に限定します。
(1) 入力データが、提供者の学習・モデル改善等に用いられない
(2) 入力・出力が、提供者側で不要に保存されない
(3) 海外送信、保存、サイバー攻撃リスク、適用法令や政府アクセス等も含めて安全性を常時評価する

3. OSやクラウドサービス等にAI機能が標準搭載され、利用者がAIと気づかない形で動作する可能性があるため、当事務所は承認していないAI機能の無効化・利用制限・定期点検等の措置を講じます。

5.依頼者情報・個人情報等の取り扱い

当事務所は、AIへの情報入力にあたり、秘密保持義務の対象情報や個人情報・個人データ等について、秘密保持義務違反や個人情報保護法違反、プライバシー侵害等とならないよう適切に取り扱います。

6.著作権の侵害防止

当事務所は、生成AIへの情報入力及び出力された情報の利用に関し、他者の著作権を侵害しないよう細心の注意を払います。

7.出力(生成物)の品質管理

当事務所は、AIが出力した内容に関し、弁護士がその適切性について専門職として独立した判断を行い、その利用について最終責任を負います。

8.AIの利用排除(オプトアウト)について

当事務所におけるAIの利用は、弁護士の専門的判断と裁量のもと、品質・迅速性・安全性を確保するために行う業務運用の一部であり、またAI技術は各種業務ツールに組み込まれている場合があるため、案件または特定業務についてAI利用を一律に排除する取扱い(一般的なオプトアウト)はしておりません。ただし、依頼者の具体的かつ重大な利益に関わる場合は、ご要望を踏まえ、AI利用の範囲・方法等について必要に応じ協議・検討を行います。

9.体制整備

当事務所は、AIの基礎知識およびリスクと対処について継続的に学び、所内での周知・研修・ルール整備を行います。

10.お問い合わせ

本方針やAI利用についてのご質問は、各案件の担当弁護士までお知らせください。

2025.12.1制定