コラム

ファミリービジネスアドバイザー

2023.02.20

執筆者 弁護士 古家野 彰平

 この度、一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会(以下「FBAA」)の基礎講座を修了し、昨年9月3日にその認定を授与していただきました。
 FBAAは、ファミリービジネス(以下「FB」)の持続的発展を支援し、地域社会の発展に寄与することを目的とする非営利団体です。様々な分野の専門家が集まり、FBに対する総合的な支援のため、情報共有し、研鑽を積んでいます。
(詳細はhttps://fbaa.jp/)

 近年、我が国では中小企業の事業承継難にM&Aで対応する風潮が強くなっています。しかし、短期的にそれで対応するのは良いとしても、中小企業の事業承継難が生じている直接の原因は親族内の後継者不足です。これに対処しなければ本当の意味での対策にはなりません。
 そして、親族内の後継者不足は、社会的に見て、FBにおいて「ファミリー」と「ビジネス」との関わりが弱くなり、後継者育成等の家族が有する機能全般が低下しているためであると考えられます。しかし、今まで専門家が提供する親族内承継支援のツールは株式対策や節税対策ばかりであり、「ファミリー」にフォーカスするものは多くありませんでした。
 しかし、FBAA は、FB を、愛情・感情・平等に重点を置いた「ファミリー」、成果効率に重点を置いた「ビジネス」、投資に対してリターンを求める「オーナーシップ」の3つの要素が有機的に結び付く1つの複雑なシステムとして捉え、その発展と永続に特化した新しいコンサルティングモデルを採用します。そして「ファミリー」に関しては家族の関係性や発達を重視し、特にはファミリー・セラピー(家族療法)を必要とする等、心理面でのアプローチを行います。このようなFBの支援の方法論は、家族の関係性が原因となりFBの事業承継がうまくいかず、又は、相続争い等の家族間の紛争が生じる事態を弁護士として経験してきた私が抱く問題意識と合致していました。受講した基礎講座も、父から法律事務所を承継した経験を有する私としても実感として納得できる内容でしたし、弁護士業務にもすぐに役立つような貴重な知見を多数得ることができたと感じています。
 
 今後私は、FBAAファミリービジネスアドバイザー資格認定証保持者として、FBに対し事業承継、ファミリーガバナンス等の支援を行うことになります。紛争が存在していなくとも、家族と事業との関わり方についてお悩みや課題を抱いていらっしゃるFBの経営者、関係者の方がいらっしゃいましたら、お声掛けいただきましたら幸甚です。