先日、家の郵便受けに、変なかぶりものをしたボクサーの絵が描かれた紙が入っていました。

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京都市の市民しんぶんでした。

ちょっと語呂合わせが苦しい気がしますが、「空き家の事情」と「あしたのジョー」をかけて、空き家問題とについての周知を図っているんですね。
(わざわざ「※この特集では空き家と路地をボクサーに見立てています。」と書いてある・・・。)

【きょうと市民しんぶん10月1日号はこちら】

 

■空き家の社会問題化

さて、適切に維持・管理されていない空き家は、全国的に増加傾向にあり、近時の社会問題となっています。
放置された空き家は、草木が生い茂り、ゴミなどの不法投棄を招きゴミ屋敷化して、まちの景観を悪くし、生活環境の悪化につながります。
また、不審者のたまり場となったり、放火などの犯罪を誘発したりするおそれもあります。
さらに、老朽化した空き家を放置していれば倒壊のおそれすらあります(倒壊によって他人に損害を与えた場合、建物の所有者等は損害賠償責任を負います。民法717条)。

■行政の対応

市民しんぶんの記載によると、平成25年度の京都市の空き家率は14%。
実に7軒に1軒が空き家です。
政令市・特別区の平均は12.5%ですので、それよりも高い比率です。
空き家は増加傾向にありますので、京都市も対策に必死のようです。

こうした空き家問題に対処するため、京都市では、「京都市空き家等の活用,適正管理等に関する条例」を制定し、平成26年4月から施行されています。
条例では、空き家の所有者・管理者に対して、適性管理の義務を課しており、その義務を怠り空き家が「管理不能状態」になった場合には、市長が改善のため、段階的に指導・助言、勧告、命令・指名等の公表、過料の徴収、行政代執行ができると定めています。

また、国においても、平成26年11月19日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「特措法」といいます。)が国会で成立し、平成27年5月26日から全面的に施行されています。
特措法は、市町村に立ち入り調査権限を与え、危険な空き家には撤去や修繕を指導、勧告、命令できるとし、行政代執行による強制撤去も盛り込まれています(特措法14条)。

そして、市町村は、これらの指導等をするための空き家に立ち入り調査等ができ(特措法9条)、さらに、特措法の施行のために必要な限度において空き家の所有者等に関する情報を本来の目的以外の目的のために内部使用できるとしています(特措法10条)。

また、現在、住宅用地については、特例により固定資産税及び都市計画税の減額措置が講じられていますが、これがかえって空き家を撤去し土地を更地にすることの障害になってしまっていることから、「勧告」の対象となった空家等にかかる土地については、住宅用地特例の対象から除外されることになりました(特措法15条2項)。
特例から除外される場合、固定資産税及び都市計画税が最大で6倍になる可能性がありますので、これは所有者にとって大きなコスト増になり得ます。

 

■空き家問題への対処・解決に向けて

このように、空き家を適切に管理せず放置したままだと、様々な問題が発生し、行政からも対応を求められるおそれが生じます。
また、不動産事情も大きく変化しており、売れる物件と売れない物件の二極化が進んでいるようです。
場所によっては「不動産」が資産ではなく、管理費用だけかかるただの売れないお荷物になるおそれもあります。

そのため、空き家の所有者等としても、空き家問題を放置するのではなく、これを適切に管理や処分をしていかなければならない状況だと言えるでしょう。

京都市も、「空き家の便利帳」を作成するなどして、活用策や支援策についての広報をしています。
この便利帳、内容もよくまとまっていますので、参照し、空き家問題への対策に役立たせていただければと思います。

【京都市「空き家の便利帳」】

 

■弁護士の支援が必要な場合

ただし、空き家問題に対処しようとしても、そのままではすぐに動くことができず、裁判手続や弁護士の関与を必要とするケースも出てきています。
具体的には次のような場合です。

(1)空き家の所有者が認知症で意思表示ができないケース
所有者が高齢で認知症にかかっていて意思表示ができない場合には、そのままでは不動産を売却したり、新たに賃貸したりすることはできません。
そのような場合、家庭裁判所に申立をして成年後見人を選任してもらい、その成年後見人において不動産の売買や賃貸をする必要があります。

(2)空き家の遺産分割が未了であるケース
相続が生じたにもかかわらず遺産分割をしていない空き家は、相続人間で遺産共有の状態になっています。
こうした不動産については、遺産分割をしてから売却をする必要がありますが、遺産分割の方法について相続人間で争いがあり協議で解決できない場合では、家庭裁判所で遺産分割の調停を申し立てたり、審判を下してしてもらったりする必要があります。

(3)空き家やその敷地が共有になっており、共有者間で足並みがそろわないため、不動産の売却ができないケース
遺産分割をした結果、空き家を複数の相続人の共有にしてしまう場合が散見されますが、このような共有状態の空き家を処分するには、共有者全員の同意が必要となります(民法251条)。
空き家の売却に関して共有者間で足並みがそろわない場合には、裁判所に対して共有物の分割を請求し(民法258条1項)、共有状態を解消してから売却等をする必要があります。

(4)建物に不法占拠者がいるケース
空き家だったはずの建物を不審者が不法占拠している場合、強制的に不審者を建物から追い出すためには、建物明渡請求訴訟を提起して勝訴判決を得、さらに強制執行をする必要があります。
また、勝訴判決を獲得しても、判決を得る前に、当初の不審者から別の不審者に建物の占有が移ってしまいますと、この判決に基づいて不審者を追い出すことはできません。
このような事態を回避するためには、訴訟を提起する前に、裁判所に占有移転禁止の仮処分命令の申し立てをしておかなければなりません。

以上のような場合には、ぜひ弁護士に相談するようにしてくださいね。